内田康夫の世界-十三の墓標
内田康夫の小説『十三の墓標』
この小説はお馴染みの浅見光彦青年でなく警視庁捜査一課岡部班の部下、坂口正二刑事が主役を努める。岡部和雄警部はこれまでも、数々の舞台に登場、第一線の警察官でありながら、現代警察の科学を中心の捜査だけでなく、勘を重視する名探偵振りを発揮、浅見光彦に次いで、内田康夫作品に多く登場してきています。
さて、今回の作品『十三の墓標』は坂口の姉、裕子と裕子の夫である山本民夫が行方不明になり、相次いで死体になて発見されると言うショッキングな事件から始まります。五歳になる裕子の子供で坂口の姪に当たる和代と山本民夫の生家、丹後の宮津を訪ねる事に依って事件は和泉式部の墓標に纏わる意外な展開に発展する・・・。
更に1986年(昭和61年)12月28日実際に起きた鉄道事故。突風にあおられて余部鉄橋から客車7両が転落、真下にあった蟹缶詰工場を直撃、工場で働いていた主婦等5人と列車車掌の計6人が死亡すると言う大惨事有りました。この小説の中でその事を巧みに取り入れ、物語の重要な要素を醸し出しています。
此処で和泉式部に付いて些か知ったか振りを一くさり・・・。
和泉式部は天元元年(978年)頃の人と言われています。平安中期の歌人で越前守の大江雅致の娘で橘道貞と最初の結婚、2人の間に出来た子供がこれ又、歌人で百人一首で有名な小式部内侍。
その有名な小倉百人一首の中に親子共に和歌が収められています。
因みに2人の句を紹介すると
和泉式部
あらざらむ この世のほかの 思い出に 今ひとたびの あふこともがな
小式部内侍
大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみも見ず 天の橋立
この和泉式部に纏わる伝説は数多く、彼女の墓と称する物があちこちに沢山残っています。有名な人の中には、伝説で全く行った事もない筈の所でも墓が有ったり、逸話がまことしやかに残っている例があります。奥州平泉で死んだ筈の源義経が北海道に渡ったり、れっきとした石碑が立っていたり、その後、蒙古に行ってジンギスカンになったりした事にもなっています。
さて、和泉式部の墓はかなりあやふやの物は全国に20~30ヶ所有る様ですが地元行政機関も力を入れている物は次の13ヶ所になるそうです。
京都府-京都市京極 京都府-宮津 京都府-木津 兵庫県-加古川市
佐賀県-有明町 千葉県-館山市 長野県-諏訪市 福島県-石川市
宮崎県-国富町 高知県-土佐清水市 広島県-尾道市 岩手県-宮古市
神奈川県-南足柄市
物語は此の和泉式部の墓が次々に出てきて、益々謎は謎を生みます。事件は意外が展開を・・・・。さて
内田作品全国の名所、旧跡、歴史、伝説を折り込み、興味をそそります。この小説の中でも出てくる丹後の宮津に有る日本三景の一つ天橋立は、私も数年前に行った事があります。私が行った時期は11月。寒い日で観光客もまばら、それでも傘松公園の股覗きをしたり、松並木を途中まで歩いたりしてきました。
そう言う意味でも内田作品、懐かしさを感じさせられたり、古い歴史の勉強になります。それより何より読んでいて面白さ抜群です。
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